第4回レクチャー 講演テーマ
『地球環境を守るための人類の精神革命』
京都大学名誉教授の広井良典先生は、持続可能な社会、持続可能な地球環境、そして持続可能な財政や社会保障などを、一貫して研究されてきた先生です。
広井先生の問題意識の中心にあるのは、社会も、財政も、地球環境も、破綻してしまえば意味がない、という視点です。つまり、人間社会がこれからも成り立っていくためには、何を大切にし、どのような方向へ進むべきなのかを、根本から問い続けてこられました。
今回、私たちが特に注目したいのは、**「地球環境を守るための人類の精神革命」**です。
人類の長い歴史を振り返ると、私たち人間のあり方を根本から変えるような大きな精神革命が、これまで二度ありました。
一つは、約5万年前の狩猟採集時代に起こった精神革命です。そしてもう一つは、紀元前5世紀ごろ、今から約2500年前に起こった大きな精神革命です。
とくにこの紀元前5世紀ごろには、インドでは仏教が起こり、ギリシャでは哲学が発展し、中国では儒教や老荘思想が現れました。また中東では、ユダヤ教の流れが形づくられていきました。
これらの思想や宗教は、その後のキリスト教やイスラム教にもつながり、現在に至るまで、人類を精神的に支えてきた大きな源流となっています。
驚くべきことに、こうした精神的・思想的な動きは、世界の各地でほぼ同じ時期に起こりました。
その背景には、農耕文明の発展と、それに伴う環境や資源の限界があったのではないか、という見方があります。農業が広がる中で、森林の減少、土壌の流出、収穫量の伸び悩みなどが起こり、人類は外へ外へと拡大していくだけでは、立ち行かなくなっていきました。
そのような行き詰まりの中で、人類は、自分たちの内面や精神のあり方を深く掘り下げる方向へと向かったのではないか。そこに、大きな精神革命があったと見ることができます。
そして現代の私たちもまた、地球環境、社会、財政、人口、地域社会など、さまざまな面で大きな行き詰まりに直面しています。
だからこそ今、外側の成長や拡大だけではなく、人間の内面や精神、そして新しい価値のあり方を考えることが、改めて必要になっているのではないでしょうか。
広井先生は、持続可能な社会というテーマを、人類史全体の大きな流れの中で考え、現代社会に必要な新しい方向性を示してくださる、非常に貴重な研究者です。